明治時代のお医者さん二木謙三先生のお話をします。
産まれた時から虚弱体質(からだが弱い)でした。
胃腸が弱く、消化不良・頭痛・めまい・喉の痛み・喘息がありました。
皮膚は弱く、動くとすぐ疲れてしまい動悸がなかなかよくありませんでした。
浮腫があり、尿から血が出る時もあり、子供の頃から「健康なからだになりたい‼︎」と願っていました。
そして、一冊の医術書と出会い、最後に書かれていた、ある老人から教わった呼吸法がありました。
筆者の父が病弱でしたが、呼吸法のおかげで、84歳まで無病で長寿を全うしたことが書かれていました。
二木はこの方法を実行し続けたところ、虚弱のからだが強くなり虚弱体質を克服する事ができました。
目次
養生の呼吸 四ノ型「二木式」実践編
全集中「二木式」の実践編にいきましょう‼︎
「二木式」効果
- お腹の血液の滞りをなくす
- 血液をさらさらにして循環を良くする
- 胸を広げて肺を強くする
- 心臓を強くする
- 胃腸の運動、便通の改善
- 脳の回転を速くする
- うつ、不安、不眠の予防
- その他の病気の予防
- メンタルを強くし、環境に負けないようにする
病気にかかったものは これを癒す効能はあるが、病気のない人を気病に かからないようにし,ますます健康にするのが効果である By二木謙三
「二木式」やり方解説
二木先生は17歳の頃から実行しています。
1873年〜1966年、93歳まで生きていました。一日一食、短眠でした。
吸う:お腹を膨らませる
吐く:お腹を凹ませる
・鼻か口で吐く(やりやすい方でOK)
・目を閉じても半開きでも良い。遠くを見つめる
※口から吸っては駄目!
口から吸うと肺までの距離が短く、冷たい空気が入ることで肺が害されるからです。
吸う順番:鼻→胸→みぞおち→臍の下→止める(戻りはこの逆)
時間:1呼吸15秒目安(1分間に4呼吸)15〜30分間目安
朝夕の2回、朝昼晩の3回
姿勢:頭部は動かないように固定
肩の力は抜く
お尻はしっかりと背もたれの近くに
両膝は少し開く
手は動かないように膝の上
背骨は真っ直ぐにする
腹が堅くなるように
(歩いておこなっても良い)
食前(空腹)・食後(満腹)は避ける
1呼吸20秒だと…
1時間くらいやることになるね!
動の呼吸・静の呼吸
- 動の呼吸(小乗)
- 静の呼吸(大乗)
- 外界-静の時(歩く、休む、新聞・本を読む、眠りにつく)
→呼吸は腹を動かす「動」の状態におく - 外界-動の時(仕事、勉強、熟考、スポーツ、動いている時)
→呼吸は腹を堅くして静かに呼吸する「静」の状態におく
動にして静、静にして動の呼吸
男はノイローゼ、女はヒステリーが目に付く
二木先生が西洋にいると、男は脳神経衰弱、女はヒステリーになっている人が多かったそうです。海外だけかと思いきや、日本に帰国してからも目についたようです。
そこで、研究を始めたそうです。
その思いは「病気にかかったものは これを癒す効能はあるが、病気のない人を気病に かからないようにし,ますます健康にするのが効果である」予防(腹式呼吸)で自分のように病弱で苦しんでほしくないという思いがありました。
脳神経衰弱
1880年に米国の医師ベアードが命名した症候群です。
最近はほとんど用いられなくなり、歴史的な意味をもつにとどまっています。
症状
めまい、筋緊張性頭痛、睡眠障害、くつろげない感じ、いらいら感、消化不良などがあります。ストレス症状ですね。
この病態をノイロ(神経)+アステニー(無力=衰弱状態)の複合語として案出しました。
当時は労働者の多くがこの症状が多発していたそうです。決定的な治療法はなかったそうです。(ノイローゼ)
文化は変わったけど、人間は変わってないっていうよね…今でも多いのかな?
二木式呼吸論 解説
呼吸法は主に4つ
呼吸には4つある
「肺尖呼吸」
空気が一番近い道を通り、肺に入るので肺尖カタルを起こしやすい。肺尖のみを使うので、結核菌などが付着して、肺病になるので最も駄目な呼吸法。
「胸式呼吸」
肺を横に広げて、縦の長さを短くするため完全な呼吸法とはいえない。
「胸腹式呼吸」
胸と腹が同時に膨れ、同時に凹む。本当の生理呼吸であるが、病気などでできない人は「逆式呼吸」にしても良い。
「腹式呼吸」
横隔膜が下がり、肺が下の方に伸び、容積が大きくなる「肺底呼吸」である。
肺を横だけでなく、縦に伸ばす呼吸法。
息を吐く時は腹をへこますと横隔膜が押し上げられ、肺にある悪い空気を外へ押し出す事ができる。
循環の仕組み
血液循環には「体循環」と「肺循環」がある。
当時は「なぜ心臓に血液が戻ってくるのかが、東洋医学で解決ができなかった問題があったそうです。
そこで二木先生の研究では「腹式呼吸をすると、お腹の圧力が上がり、溜まっている血液が押し上げられて心臓に戻る。」と解説しています。
二木先生は「腹圧計」を作り、正常腹圧の測定をおこなったり、模型を使って説明したりと呼吸の大切さをわかりやすく一般の方々に向けて説明していました。
神経との関係
腹部には「迷走神経」、「内臓神経」、「交感神経等」、「胃腸の壁内の固有神経叢(束)」があり、腹式呼吸と腹圧によって機械刺激を受ける。
胃腸の血管収縮や拡張が、各器官の亢進と抑制を促す。さらに刺激を受けると反射的に肺や心臓の機能を調整して、全身の血行を調整する効能がある。
姿勢について
姿勢は座位、立位、仰臥位(あお向け)がある。
初心者は座位を推奨。
座位
- 両膝を少し開けて座る
- 足の先を重ねてお尻を置く(お尻を少し後ろにずらすと頭がまっすぐになる)
- 背中は伸ばし、姿勢良く
- 腕は肩から緩く下げて膝の上におく
- 身体を揺らして、落ち着くところを探す
- 目は閉じるか、半開き2m暗ぐらい先を見る
- 下腹部に力をいれる
- 胸・肩・首・頭・両手は自然に任せ、自由穏やかにしておく
立位
- 柱(壁)に立って、頭・肩・お尻・かかとが柱についたら正しい姿勢
- 腰は手が一枚入る暗い離れているのが良い(後弯しているので)
- 顎を引く
- 呼吸するときは寄りかからない
- 両肘をくの字にして腰に手を当てる
- 呼吸を行う
- お腹に力を入れるが、手は軽く自由にしておく
仰臥位(ぎょうがい)
- 両足を踏み伸ばし(伸びをする感じ)
- 手は重ねてお臍の上
- 呼吸をする
「二木式」で鬼に負けない身体が作れる
いかがでしたでしょうか?
二木先生も高等学校の時に「脳神経衰弱」を患ったそうです。誰よりも病気の辛さを知っているからこそ、自分がよくなった「呼吸法」の研究と周知をおこなったと思います。
皆さんも、是非
養生の呼吸 四ノ型 「二木式」
やってみてください!
二木謙三 医学博士
1873-1966 享年93歳
秋田県秋田市土手町上丁 樋口家二男 産まれ
明治18年 二木キヨの養子となり、二木家を継ぐ
明治34年 東大医学部卒業
東京駒込病院 36年勤務
志賀菌と赤痢菌「駒込A・B」を発見
明治38年 ドイツ留学
明治41年 帰国 二木式呼吸法提唱
明治42年 駒込病院 副院長
大正3年 東大医学部助教授 兼 伝染病研究技師
大正6年 東大医学部附属医院分院初代の内科医長
大正8年-昭和6年 駒込病院第5代院長
大正10年-昭和8年 東大教授、駒込病院一時期兼任
大正15年 日本伝染医学会初代会長
昭和4年 共同研究「鼠咬症の実験的研究」で学士院賞
昭和5年 日本医科大教授
昭和26年 学士院会員
昭和30年 文化勲章
昭和41年 勲一等瑞宝章